木炭デッサンを「絵の一種」と考えて進めると、もしかしたらなかなか本質に迫れないかもしれません。
確かに、「紙に」「木炭で」「モチーフの像を」表す
という行為は絵を描くことと似ています。
が、デッサン上達者の頭の中で起こっていることは
絵を描くというよりも、むしろ彫塑ととてもよく似ています。
木炭紙はモノとしては白い紙に違いありません。
しかしながら、これは「ペラペラの紙」ではありません。
直射日光しか存在しない宇宙空間と考えます。
宇宙空間なので引力もないし、大気も存在しません。
ひたすら光しかなく、影の一つも存在しない空間です。
人間が感知できるこの世で最も明るいものは直射日光です。
この木炭紙宇宙では、木炭が全く乗っていないのが最も明るい状態です。
ということは、デッサンを開始する前の木炭紙は直射日光しかないのと同じです。
ご存知の通り、直射日光を直視することはできません。
影が全くない状態というのは、即ち人間がものを見ることができない状態です。
ものを見るためには、必ず影が必要です。
木炭は単なる画材ではなく、木炭紙宇宙に人間がものを見る為の影を作る道具なのです。
モデルさんで、どんなに明るく白く見えるところであっても、「それが見える」ということは
それは白ではなく、絶対にグレーなのです。全てグレーです。
光を見えるようにするには、まず影を作らなければなりません。(続く)
1/21(土)アカデミック造形研究プロジェクト 公開制作第二弾
「ゼロからの構築プロセス」