皆さんは直方体をきちんとデッサンできますか?

私は恥ずかしながら、満足に「OK!!」という出来になったことが、ただの一度もありません。

いやいや、CGがあるからもう直方体なんか描けなくてもいいでしょう。

と一瞬でも思った人。

その方は絵を「描く」人生ではなく、良くも悪くもソフトに絵を「描かされる」人生になります。

 

矩形は人間の認知の出発点である「抽象化」をするためのフォーカス機能です。

そして、直方体はその働きをわかりやすく三次元的に可視化したものと言っても過言ではありません。

 

目の前の物体はこれぐらいのサイズの箱に収まると類推する感覚。

その箱は空間の中で「このように平面に乗っている」と表現する力。

 

これらは、直方体の練習によって磨かれます。

それを、完全にすっ飛ばしている状態です。

 

よくあるのが「人体デッサンしたら、倒れそうな像しか描けない」というケース。

 

白紙の紙は「紙」ではなく、「窓の向こうに広がる、直射日光で満たされた宇宙空間」です。

デッサンは、そこに立体を「描く」というよりも、「置く」という感じに近いです。

パースを使うにしても、消失点は大抵画面のかなり外にありますので、

結局は生理的な感覚を用いて「倒れそうに見えるか見えないか」を感じ取るしかありません。

何を描くにしても、まずは直方体からスタートです。

 

画像は10:9:12の直方体。7月、アトリエRojueでの顔セミナーで使用する教材

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