デッサンを描いていると、ある段階から急に形が見えてきます。
それまでは単調な木炭のひろがりでしかなかった像が、明暗のトーンがつくことでグッと立体らしくなってきます。
それはとてもワクワクする瞬間で、描き込みが進めば進むほど楽しいものです。
デッサンの完成を10段階に分けるとすると、この画像は大体5段階目ぐらいです。
この値が絶対的に正しいわけではなく、あくまでも私の個人的な感覚です。
前芝武史先生との「二人の美術解剖学展」で開催したデッサンデモでは、
1時間でこちら↓の段階まで仕上げました。
本当は完成させることができればよかったのですが、ん〜。
残念ながら8段階目、といったところでしょうか。悔しい…
画面の向かって右側は遠くに逃げていく面なので、左側の描き込みがもの足りません。
左右のコントラストがないと、手前にあるものがグッと前に出てこない。
逆光らしく、もう少し輪郭部の稜に当たる面を丁寧に追いたいところ。
頭部も手を加えて、せめて球体の存在感は出すべき。
普通は5段階目から3時間ほどかけて一応の完成に持っていくイメージです。
アニメやフィギュアモデラーの方々にとっては遅すぎて話にならないでしょう。
ただ、この激変の瞬間を一度味わった人は、一生その感覚を忘れられないものです。
制作時間が1時間の人も10時間の人も、同様に激変の瞬間を通りすぎるもの。
制作意欲を支える柱として、大事にしていきたい要素だと思います。