私の好みの話。
木炭デッサンは濃く、木炭がねっとりと紙に乗り、木炭紙を染め上げたように練り込まれたような画面が好き。
上手くて、要領が良くて、なんのつまづきもなく、最短距離で完成したような、格闘や七転八倒の跡が見えないデッサンは好きになれない。
木炭は、やる気はあるのに不器用な絵描きに恵みを与えてくれる画材だ。粉が紙に乗らなくなり、手の脂で紙に押し込んでからが、あたたかいグレーの色味を滲ませて本領を発揮するように思う。
秋冬になると、紙が手の脂を吸ってしまい、指の関節がカサついてくる。そういった部分もデッサンするときに使うから。
終わったら鼻の中や喉は必ず洗う。木炭を吸っているから。
こんな汚れ仕事をしながら描くしかないので、あっさりした木炭デッサンを見ると、あーうまいねー、としか思えない。
いいデッサンを見ると、上手いね、なんか吹っ飛ぶ。黙らせられる。私のお喋りな言語脳を黙らせてほしい。
自分では上手いと言われたら終わり、ぐらいに思っている。
画像は、高校時代に描いた、人生30枚目のデッサン。
もう一つの描きかけは「今」描いているもの。一度仕上げたが、ものすごく気に入らないので全部消して、描き直し。
高校時代と、大して変わりない。一生、会ったことのないお師匠さんの背中を追う羽目になるかもしれない。




