アカデミック造形研究プロジェクト 美術解剖学ワークショップ第2弾
-0からの構築プロセス- を2023年1月21日(土)大阪市中央公会堂で開催いたします。
ご存知、前芝武史先生と美術解剖学モデルの海斗さん、
そしてわたくし、アタリサオリの3人でのワークショップです。
絵画と彫刻の制作で、0から構築するプロセスをご参加の皆様にお見せいたします。
アカデミック造形研究プロジェクトは美術解剖学の研究を重視しています。
「研究」というとなんだか学者さんのようなムズカシサの響きがありますが、そうではありません。
そうではない、というのは「簡単だ」ということでもありません。
「難しさ」の質が違うのです。
例を挙げるとこのような感じです。
「重い荷物を背負う男」を粘土で作ろうとあなたは思いました。
あれこれ試行錯誤しますが、どうしても「拳を振り上げる男」のようになってしまいます。
一体、どの筋肉や骨格、腱の見た目、そして見た目ではない何かを変化させれば「重い荷物を背負う男」になるでしょうか。
ね?難しいでしょ? でも、これこそが作り手が必要な美術解剖学の有様なのです。
そしてこれに答えることができるのは、同じく作り手だけです。
おお、言い切ったな? はい、少なくとも私はそのように考えています。
美術解剖学のエキスパートの方々は世界にたくさんおられます。
大家と呼ばれる先生方もおられます。
それはそれは凄まじいまでの知識量で、まさに知の巨人と申し上げても過言ではありません。
しかし、その方々ご自身が制作のご経験がないと、
どうしても美術解剖学が分析的に語られてしまうきらいを私は感じます。
解剖学ですので分析的で当然なのですが、絵画や彫刻で人物を表現するための美術解剖学は、
作り手の頭の中ではもっと統合的なのです。
例えば首。neckです。
首は頸椎と僧帽筋、胸鎖乳突筋、広頚筋、気管、舌骨などなどから出来上がっていますが、
これが分析的な考え方。言葉が部分を指し示す機能しか持ち得ていないために、
どうしても分析的な捉え方になります。語数も畢竟多くなります。
一方で首を統合的に捉えると、まず脊柱起立筋を通じて腰と繋がっており、
ローテーターカフを通じて脇の下とも繋がっており、
手の薬指や小指とも繋がっています。
上を向いた時に第七頸椎から肩甲骨の内側が痛い時ってないでしょうか。
そんな時には手の甲側の薬指と小指の骨の間をぐりぐりとマッサージしてみてください。
ツボならば相当痛いですが、マッサージ後は首の痛みは軽減しています。
この「痛い」とか、「突っ張った感じ」とか、「寝違えた」とか、
日々私たちは首に対して何かを感じています。(首だけじゃないですが)
つまり、首は分析的に考えると頸部そのものなのですが、
私たちの身体感覚では他の部位や皮膚感覚と切り離せない
ネットワーク上の一部なのです。
芸術家の制作は、作者の身体感覚と密接にリンクしていますので、
これを置き去りにした説明ではどうしても「腑に落ちない」し、作れないのです。
造形としての人体を、身体感覚を以って統合的に説明することができるためには、
その人自身が作り手でないと厳しいのではないか、と思います。
足を踏ん張り、歯を食いしばり、顔をしかめて、持ち手が指に食い込んでいて、
もういかにも重たい荷物を背負っている「感じ」。一言ですみます。
一言なのに、情報量は分析的説明よりも格段に多いのです。
私の木炭デッサンでは、構築プロセスの「0」の段階で
この「身体感覚」が最も顕著に現れます。
白い紙への最初の「飛びつき方」から「組み上げていく様子」をぜひご覧ください。
17時30分からはご予約制の親睦会を開催いたします。
彫刻家、美術モデル、画家の、それぞれの世界で型破りな3人と、
楽しくて面白くて、全然上から目線じゃない「美術解剖学」や「制作」について
一緒に語り合いませんか?
ご予約はこちらまで↓
academic.zoukei@email.com
3人で皆様のお越しをお待ちしております!